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[調査会NEWS 736](20.1.5)飯倉公館事件

 投稿者:管理人  投稿日:2009年 1月 5日(月)01時28分29秒
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  [調査会NEWS 736](21.1.5)

■飯倉公館事件

             荒木和博

 これも何度も書いていることですが、拉致問題の本質を象徴することなのでご存じない方のためにもう一度書いておきます。第1次小泉訪朝の平成14(2002)年9月17日のできごとです。

 この日、私たちは衆議院第一議員会館の会議室にいました。拉致議連の役員、家族会、救う会、そしてマスコミの人たちで立錐の余地も無い状態でした。

 そんな中で首相官邸から「8件11人(当時政府が認定していた拉致被害者)全員の消息を伝えるので平壌と連絡のとれる外務省に来てもらいたい」という連絡が伝わりました。外務省で報告をしたいという官邸からの申し出は前日16日にもあったのですが、そのときは「報告があるならこちらに持ってきてもらいたい」と断りました。この日は「全員の消息を伝える」と言われたので半信半疑ではありましたが承諾したのです。場所は外務省の麻布飯倉公館とのことでした。

 確かはとバスだったと思いますが、貸し切りバスが1台、議員会館前に着いたのは15時でした。「随分手回しがいいんだな」と感じました。前から用意がされていたということでしょう。

 飯倉公館は外務省のゲストハウスで賓客の接待などに使われる豪華な建物です。地下の貯蔵庫に8000本のワインがあることでも有名です。

 私たちは広いホールのようなところにしばらく待たされてから一家族ずつ別室に通されました。最初は横田めぐみさんのご両親と双子の弟さんが呼ばれました。佐藤会長と私も同席しました。伝えたのは植竹繁雄外務副大臣。「亡くなっています」という言葉を聞いたとき、文字通り頭が真っ白になりました。自分がやっていたことでめぐみさんが殺されたのではないか、自分は人殺しをしてしまったのではないか、そんな思いにただ呆然とするだけでした。あのときの情景はおそらく死ぬまで忘れないと思います。同様にして有本さん・市川さん・増元さんのご家族に「死亡」が伝えられ、蓮池さん・奥土さん・地村さん・浜本さんのご家族には一括して「生存」が伝えられました。

 このあたりの詳細は私の編著『拉致救出運動の2000日』(草思社刊)にも書きましたし、同書と横田早紀江さんの著書『めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる』(草思社刊)を原作にしたテレビ東京制作のドラマ(平成15年5月放送『めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる』)でも描かれていますのでここでは省略します。ともかくこのとき、政府は単に北朝鮮が「死亡した」と言ってきただけの話を「確認した」こととして家族に伝えたのです。

 同行者も救う会は佐藤会長と私(当時事務局長)の2人だけで、拉致議連が当時会長だった石破茂議員、副会長だった米田建三議員、事務局長だった平沢勝栄議員の3人に限られ、幹事長である西村眞悟議員や事務局次長の松原仁議員ら野党議員は排除されました。

 翌日、外務省に行って糺したところ、この情報は何の確認もせずに単に北朝鮮の情報をそのまま伝えただけだということが分かりました。また、9月19日付の朝日新聞は北朝鮮側が日本側に伝えた「死亡」の日付をすっぱ抜きました。実は17日朝、北朝鮮から渡された情報に「死亡」の日付が記されていたのです。しかし飯倉公館では家族が「何時死んだのですか」と聞くと、この宣告をした福田康夫官房長官と植竹繁雄外務副大臣はどちらも「分かりません」と言って答えませんでした。

 その日付は例えば平成2(1990)年に目撃証言のある市川修一さんの「死亡」が拉致された翌年の昭和54(1979)年9月4日であるなど不自然なものが多く、これを見たら私たちも家族も即座に「この情報は嘘だ」と言ったに違いないものでした。「分かりません」というのは「死んだ」という情報を確定情報にするための策動だったのです。しかも、私たちが飯倉公館に隔離されてマスコミとの接触が全くできない状態で、平壌からは何人生存、何人死亡という情報を流し始めました。情報に飢えていた受け手(国民)が否定をする人もいない中でこの情報を確定として受け止めても仕方ないでしょう。

 そのような周到な準備があったために、9月17日に「8人死亡」で日本中を駆けめぐった情報は容易にひっくり返せませんでした。まさか政府がかくも重大なことで嘘をつくとは思ってもいなかったこちらが甘かったとも言えるのですが、これはまさに日本政府が拉致被害者家族と支援者、もっとはっきり言えば国民にしかけた情報戦でした。

 もし家族がマスコミの前にいるところで、しかも「北朝鮮がこう言っています」という情報を、「命日」まで含めて伝えられたらどうでしょう。もちろんショックには違いありませんが、「何も確認できていないし、この間まで『拉致はでっち上げ』と言っていたのだから信用できない」ということになったはずです。マスコミも少なくとも「死亡」を確認された事実としては流さなかったでしょう。

 当時の政府がやろうとしていたのは「死亡」を既成事実化し、「生存者」の家族と「死亡」を伝えられた家族を分断することで救出運動を抑え込み、「あとは全て日朝国交交渉の中で話し合う」ということにしてしまうことでした。こうすれば日朝国交正常化にブレーキを掛けるものは誰もいなくなります。

 これが日本政府が日本国民に対して行ったことです。私は後で振り返って、国家権力の恐ろしさに背筋の凍る思いでした。そしてそれは同時に、自分が政府に対してどう向き合わなければならないかを考えるきっかけを与えてくれました。

 私は救出運動の中でこんなことを何度か体験してきました。今後また機会を見て書いていきたいと思います。


■調査会役員の参加する講演会等の予定(公開の拉致問題に関するイベントのみ)

★平成21年1月18日(日)14:00 北朝鮮による人権侵害について考える県民集会(救う会徳島主催)
●阿南市文化会館夢ホール(阿南市富岡町西池田135-1)
●代表荒木が参加
●問い合わせ 090-5141-1995(救う会徳島事務局)

★2月15日(日)14:00 「特定失踪者寺島佐津子さんの失踪の真相を究明する集い」(救う会神奈川主催)
●藤沢産業センター(JR藤沢駅北口より徒歩5分・藤沢郵便局隣り)
●常務理事杉野が参加
●問い合わせ:090(9816)2187又は sukukaikanagawa@hotmail.com

★3月28日(土)13:00「北朝鮮による拉致・人権問題を考える神奈川県民集会」
●横浜情報文化センター 情文ホール(みなとみらい線「日本大通り駅」 情文センター口0分)
http://www.idec.or.jp/shisetsu/s6-jouhou.php4?f=jouhou/6-map.htm
●代表荒木が参加
●問い合わせ:090(9816)2187又は sukukaikanagawa@hotmail.com


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特定失踪者問題調査会ニュース
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Tel 03-5684-5058 Fax 03-5684-5059
email: chosakai@circus.ocn.ne.jp
調査会ホームぺージ: http://www.chosa-kai.jp
戦略情報研究所ホームページ: http://www.senryaku-jouhou.jp
発行責任者 荒木和博 (送信を希望されない方、宛先の変更は
kumoha351@nifty.com 宛メールをお送り下さい)
●資金カンパのご協力をよろしくお願いします。
郵便振替口座 00160-9-583587  口座名義:特定失踪者問題調査会
銀行口座 三菱東京UFJ銀行 鷹の台出張所 普通 3810752
口座名義:特定失踪者問題調査会 専務理事 真鍋貞樹
(銀行口座をご利用で領収書のご入用な場合はメールないしFAXにてご連絡願いま
す)
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